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ミャンマー仏教とは?

こんにちは。ミャンマー在住のノリです。皆さんはミャンマーについてどの様なイメージをお持ちでしょうか?若い人はピンとこないかもしれませんが、上の年代の方にとっては「ビルマの竪琴」の仏教のイメージが強いと思います。ミャンマー人の大部分は仏教徒なので、ミャンマー人と仲良くなるためには、ミャンマー仏教を知っていることが不可欠だと思います。そこで今回は、ミャンマーの仏教について、概要をまとめてみたので、ぜひ参考にしてみてください!

 

ミャンマーとは?

まずそもそも、ミャンマーについて馴染みのない方も多いと思うので、ミャンマーの概況を見ていきましょう。

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ミャンマー概要

[出典]JETROミャンマー概況

ミャンマーの地理や政治体制など話そうと思うと長くなってしまうので、詳細は割愛しますが、ビルマ民族がメインですが、多民族国家で国境地帯での紛争が絶えない国家になります。ロヒンギャへの人権侵害、ジェノサイド等課題があるため、欧米諸国が経済制裁を行っていますが、日本政府は制裁によって現政権に打撃を与えるのではなく、協調により課題の解決に取り組む姿勢を見せているため、日本・ミャンマーは現在のところ良好な関係と言えます。

 

 

ミャンマー仏教基礎データ

ミャンマー仏教について統一的にデータを参照できるサイトなどがなかったため、

サイトからデータを集めた表を作りました。

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ミャンマー仏教基礎データ

ミャンマーではデータを取るのが難しい国なので、各データの年度がバラバラになっていたりしますが、ご了承ください。以下でミャンマー仏教について少し詳しく紹介していきたいと思います!

 

ミャンマーにおける仏教徒割合

ミャンマーは、以下のように多民族国家(135の民族があると言われる)です。

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ミャンマー民族分布

[出典]ローカル地球の歩き方ミャンマーの民族一覧

しかし、多民族国家にも関わらず、ミャンマーの人々の多くは仏教徒になります。

 

JETROによると、ミャンマー国民の87.9%が仏教徒です。ミャンマー多民族国家ですが、チン州を除く全ての州で仏教がマジョリティです。

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地域別仏教徒割合

[出典]Myanmar(Burma) Religious Map

もちろん、現在問題となっているロヒンギャイスラム教ですが、ミャンマー政府から国籍を認められていないため、実際の数値とは異なる部分が出てきますが、仏教徒が多いということは分かると思います。

 

 

ミャンマーの仏教宗派は?

仏教には様々な宗派がありますが、大別すると「上座部仏教」と「大乗仏教」があります。日本に伝来した宗派は「大乗仏教」になり、「自分だけではなく全ての人のために修行を行う」という思想が根本にあります。それに対し、ミャンマーでは「上座部仏教」が信じられています。「上座部仏教」は英語でTheravada Buddhismとされ、「仏の教えに従い、修行を行ったものだけが成仏できるという思想」であり、結婚できなかったり、お酒を飲んではいけないなど厳しい戒律があります。

 

ミャンマーへの仏教伝来自体は紀元前3世紀ごろと言われていますが、上座部仏教が伝わったのは7~10世紀ごろと言われています。また、11世紀ごろバガン朝のアノーヤター王がモン族の中で信仰されていた上座部に改宗したことから、ミャンマーで本格的に上座部仏教が広まったとされています。

 

 

ミャンマーの僧侶や寺院の数は?

ミャンマーに来ると驚くことの一つとして、僧侶や尼僧の多さだと思います。街中や田舎どこにでもいます。ミャンマーの人口は5,526万人ですが、そのうちの50万人ほどが僧侶と言われています。つまり、全人口の1%が僧侶ということになります。

 

さらに、寺院の数は少し古いデータではありますが、全国に58,000ほどあると言われています。寺院はどんな田舎でもどこでもあります。日本における幼稚園から大学まで全ての学校総数が56,000ほどなので、国土はミャンマーが日本の1.8倍ありますが、それでもすごく多いということは分かると思います。

 

また、ミャンマー独自の教育制度として、公立学校のほかに、寺院に併設された寺院学校というものがあります。現在ミャンマーでは公立学校の授業料は完全無償ですが、行事や昼食、テキスト等出費が親負担になることがあり、貧しい家庭の子供たちは公立学校にも通えません。そのため、貧しい子どもたちの多くは寺院学校に通うということが多くあります。寺院学校は、寄付によって成り立っているため資金源の問題などもあり基本的には初等教育まで提供していますが、比較的寄付金の集まる大規模な寺院学校であると高等教育まで提供しているところもあります。2015-2016年度のデータによると、全国に寺院学校1.538校あるとされており、生徒数は297,039名いるとされています。もちろん、登録されていない子どももいるようなので、それ以上の数いると考えられます。

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Padaungにある寺院の様子

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寺院学校の様子

また、寺院学校では国境の紛争地帯で教育を受けることができない少数民族の子供たちを受け入れて、修行僧として修行をつませながら勉強させることもあります。仏教教育が充実しているため、貧しい家庭でなくとも、仏教教育を受けさせたい子どもを通わせるケースもあります。

 

 

僧侶・尼僧の生活

僧侶の1日は早朝4時から始まります。寄付や食事をめぐんでもらうため、托鉢に朝から出かけるためです。また、食事は1日2回で、朝とお昼前の2回のみです。昼以降は食事一切できず、飲酒はもちろん厳禁です。また、音楽やテレビも見たり聞いたりできませんが、最近の僧侶は皆、支援者との連絡や地域との連絡手段としてスマホを持っています。

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托鉢の様子

以前50代のある僧侶のスマホの待ち受け画面がちらっと見えたことがあったのですが、その時に韓流アイドル?の写真を待ち受けにしていました。また、別の僧侶は午後に炭酸飲料を飲む姿を見たこともありました。ミャンマーの僧侶は禁欲的な生活を送っていますが、実際にミャンマーで生活してみると俗っぽい部分も少しあるのかとは思います。但し、基本的には瞑想や仏教に関連する本を読んだり、朝早起きなので午後は昼寝したりなどして過ごしたりしています。

 

 

ミャンマーの僧侶の現在

ミャンマー上座部仏教のため、とても厳しい環境で欲を断つ生活をしています。もちろん、その慣習は現在でも変わりませんが、生活の厳しさなどから僧侶を辞めて俗世に戻る(一般人になる)ことも多くあります。

 

西バゴー地域のPauk Kaungという地区のTaung Kang Ka Lay村で寺院を開くウェインダカ僧侶と村人のウ・ジェイ・カウミン氏によると、1998年頃に紛争の増加により、紛争地帯に住む家族などの経済状況が悪化して、働かざるを得なくなり俗世に戻る人が増加したようです。また、ここ5-10年の間でスマホが普及したことによって、世俗の生活へのあこがれや戒律の厳しさなどから、俗世に戻るというケースが多くなっているようです。実際、話を聞いたウェインダカ僧侶の弟さんも、元々は僧侶でしたが37歳の時に、戒律の厳しさから俗世に戻ったとのことでした。

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村人のウ・ジェイ・カウミン氏(左)とウェインダカ僧侶(右)

子供の修行僧の数はかなり多いですが、実際に大人になっても僧侶を続ける人たちは全体の10%ほどのようです。つまり、寺院で修行する子どもたちは多いのですが、90%は卒業後普通の生活に戻るようです。

 

 

どうやって住職になる?

寺院の数は上述したように全国に6万近くありますが、寺院一つひとつには住職(ミャンマー語セアド)がいます。僧侶自ら寺院を開くケースもありますが、ミャンマーの僧侶は結婚できないため、世襲ということはありません。

 

そのため、通常住職が高齢・病気のため別の僧侶に住職の地位を譲る場合には、その寺院の中で一番年齢の高い僧侶に機械的に引き継がれます。しかし、最年長の僧侶が地域の住民から嫌われたり、僧侶が住職一人のみという場合には、他の寺院の僧侶をヘッドハンティングする場合もあります。実際に、僕の知り合いの住職が仲介して、別の寺院の僧侶を住職にしたと言っていました。

 

 

最後に

いかがでしたでしょうか?お参りする際の作法など伝えたいことはたくさんあるのですが、今回は、ミャンマー仏教の概要を説明しました。また別のページでミャンマー仏教について詳しく説明できたらと思います!

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